第1部 (4).衛星放送

おさらい

 

 地デジで混信がなくなりチャンネル数が増やせるようになった。

 チャンネル数が増えないのは地方局の反対に総務省が乗っかっているという話でした。

 

放送衛星開始

 

 衛星放送の概念自体は古くからあったようですが、衛星放送が開始されたのが昭和59(1984)年です。NHKが世界で最初の衛星放送を開始しました。もとも衛星放送は難視聴地域解消と技術試験のために始められたものです。ところが、昭和62(1987)年にBS1チャンネルが独自プログラム放送を開始した時から流れが変わりました。NHKが新しい商売を始めたのです。そして、NHKの衛星契約は現在でも増え続けておりNHKの収入の大きな柱です。

・多チャンネル化

 放送衛星は当初2チャンネルでしたが、衛星の大型化に伴いチャンネルは増えて行きました。現在ではNHK2チャンネル、東京のキー局系列民放5チャンネル、他に無料チャンネル2局、あとは有料チャンネルです。

・難視聴地域解消

 NHKの難視聴地域向け放送は、2011年3月まで行われましたが、BS2もすべて独自プログラムになって地上波とは全く違う放送となりました。NHKは地上波2チャンネルと、衛星2チャンネル合わせて全国向け放送を4チャンネルも持っていることになります。

 

 実は民放地上波放送も難視聴地域解消のため、2010年から2015年まで東京の地上波が衛星で放送されていました。衛星チューナーで受信地域を指定すると、地元にない系列局(例えばテレビ東京など)のみのスクランブルが外れて見られるようになっていました。中継局がない地域では東京の地上波全局を衛星放送で見ることができました。

 

 というわけで、衛星での地上波放送は実際行われてきたし現在でも可能です。これも、地方局の反対に総務省が乗る形で現在では行われていないというわけです。

全国放送

 

 地デジ開始と同時に東京のキー局系列の局が5系列5チャンネルが開局しました。これは本来、東京のキー局が地方局を通さず自局の番組を独自に全国放送できるチャンスでした。もちろん地方の局は反対してBS局は地方と東京の局の共同出資となり、人気の番組は全て現在のまま地上波経由で放送されることになりました。現在でも民放系BS局は通販と大自然の番組ばかりで視聴率が上がりません。

衛星放送が普及しないわけ。

 

 衛星が地上波の「ドル箱」番組を流さないため民放衛星放送の人気は出ません。衛星放送なかなか普及しない原因もその辺にあります。ただ、NHKの衛星放送が受信できる世帯は多く同時に民放系も受信できます。民放系BS局もコンテンツを変えれば視聴率は上がると考えられます。 

有線放送も普及しない

 

 民放系BS局が地上波の番組を中継しないのと同じように、有線放送は他地域特に東京のチャンネルの番組を流しません。これは、「エリア外」の番組は視聴させないという総務省の方針なのでしょう。このため、アメリカのCNNのような放送が広がりません。

 

時代の変化

 

 日本では地上波がある意味利権の温床になっています。時代の変化に対応できない姿はかつて大規模小売店舗法に守られていた小売店や旧国鉄の赤字ローカル線をほうふつさせます。

・おまけ 放送局の思い出

 現在、仙台では楽天ゴールデンイーグルスがあり人気がありかすが、私が小学生のころ、私の地元仙台にはロッテオリオンズがありました。試合がある日は、小学校を帰ってきてすぐにバスに乗って放送局に行き、機材運びを手伝って、機材をタクシーに乗せ(タクシー1台分は機材でいっぱい)、父、私、アナウンサーでタクシー2台ぐらいを仕立てて球場へ向かいました。父が機材をセットし球場で待ち合わせた解説者と合流、野球のラジオ中継をしていました。準備が終わると私はフリー、試合が終わるまでは見学し、終わったら片付けを手伝って放送局に戻り、父と一緒に帰るということがよくありました。中継を手伝って試合を見せてもらったという思い出でした。