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世界主要国の電気通信に関する詳細情報 16

16.インドネシア

 

1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について

 放送に関する法律2002年第32号(Lawof the Republic of lndonesia Number 32 year 2002 on broadcasting)第5条1.に、公正で、バランスの取れた情報を提供する責任があることが明記されているほか、同第36条には放送内容に中傷、扇動、虚偽、暴力、狼襲、賭博、麻薬、違法薬物等と、人種、宗教等に対する攻撃の禁止、宗教的価値観やインドネシア民族の尊厳等の否定の禁止と、内容の中立性の維持及び特定集団の利益優先の禁止、青少年の保護等が盛り込まれている

 また、同第37条で放送における主な言語はインドネシア語でなければならないとされ、同第42条で、ジャーナリズム活動は、ジャーナリズム倫理綱領及び法律の遵守が義務付けられている。

 さらに、同第44条で報道機関に対し、放送やニュースの内容に誤りがある場合、または番組やニュースの内容に抗議がある場合の是正措置の義務が定められ、それらは原則24時間以内に行う義務があり、それができない場合でも優先事項としてできるだけ早く行わなければならならず、更に、訂正を行った場合であってもそれを以て放送責任者の責任又は訴訟手続を免れるものではないことが明記されている。

 広告については、同第46条で規定されており、宗教やイデオロギー等のプロモーション広告の禁止、酒類や曙好品、煙草、公共道徳や宗教的価値観に反するもの等を禁止しているほか、民間放送機関の放送広告時間は最大20%、公共放送協会の場合は最大15%と定められている。

 これらは、放送に関する規制を行う独立機関であるインドネシア放送委員会(Indonesian Broadcasting Commission (Komisi Penyiaran lndonesia KPI) により行われ、インドネシア放送委員会により放送コードが定めることと、放送コードの必須内容等が同第48条に定められているほか、報道機関の監視と是正措置等の義務付け、及び視聴者からの苦情処理等を行う。

 

 

2. クロスメディアオーナーシップ等の報道機関の一定地域における情報提供の占有や支配に関する各種規制について

 放送に関する法律2002年第32号の第5条に放送の所有独占(Ownership monopoly) を防ぎ公正な競争を支援する事が明記されており、具体的には同第18条にクロスメディアオーナーシップ制限に関する規定が設けられている。これにより、一定地域での個人または法人による民開放送機関の所有権や支配権は限定されているほか、ラジオ放送を運営する民間報道機関とテレビ放送運営する民間報道機関、民開放送機関と新聞等の印刷メディア会社、民生報道機関と他の民間報道機関との問の直接的または間接的な支配権は制限される。また、ラジオ放送とテレビ放送の双方において、放送する地域や地方、全国の放送地域の数と放送範囲に関する規制がある。

 

・外資規制について

 同第16条により、外国人は財務および技術分野を除き民開放送機関の管理者になれないほか、同第17条により、民開放送機関の設立は、インドネシア国民或いはインドネシア国民所有の法人の資本でのみ設立可能なほか、外国資本による投資は資本金の20%以下の外国資本に制限されている

 

 

3. 電波オークション制度について

 通信情報技術省(Kementrian Komunikasi dan Informatika Komlnfo (Ministry of Communications and Information Technology MCIT))により電波オークションが行われている。

 

・オークション等実施例

・2017年に2.3GHz帯(帯域30MHz幅) 及び2.1GHz帯(帯域10MHz幅) のオークションが実施され、2.3GHz帯は、電気通信事業者5社が参加し、最低価格3667億2000万IDR(約29億円) に対し、1兆70億IDR(約80億円) で落札された。2.1GHz帯は、通信事業者3社が参加し、最低価格は2967億4000万IDR(約23億円)に対し、2社により4230億8000万IDR(約33億円) で落札された。

 

 

4. 電波使用料等について

 インドネシアの電波使用料(無線周波数BHP料金)は、通信情報省郵便及び情報資源・設備総局(SDPPI) により、帯域幅や送信電力、周波数帯、地理的要因等の様々なパラメーターを加味した数式により算出される。

 なお、第34条の規定にあるようにラジオの放送免許は5年、テレビの放送免許は10年更新であり、ライセンスの移転はできないほか、違反行為により取り消される場合がある。

 

 BHP算出の詳細については以下のWebサイトを参照

 http://www.postel.go.id/artikel-izin-spektrum-frekuensi-radio-tarif-dan-pembayaran -bhp-frekuensi-radio-7-2146

 

 

5. その他資料等

・監査機関等

 インドネシアの電波監理業務を行う部署は、放送内容等のコンテンツに対する基準策定と規制はインドネシア放送委員会(KPI) に統一されているが、電波監理等の業務は重層的な構造になっている。全体を統括するのはインドネシア共和国通信情報省郵便及び情報資源・設備総局(DirektoratJenderal Sumber Daya Dan Perangkat Pos Dan Informatika Kementerian Komunikasi Dan Informatika-Republik Indonesia SDPPI) であり、電気通信分野の規制と公正な競争等の促進は電気通信規制当局(BadanRegulasi Telekomunikasi Indonesia ( Indonesian Telecommunication Regulatory Authority BRTI) )が行い、インフラ整備やエネルギ一、科学技術等の振興も含めた情報戦略全般は通信情報技術省(MCIT)が行う。

 

(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)

世界主要国の通信放送等に関する調査報告書 25