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世界主要国の電気通信に関する詳細情報 28

28.トルコ

 

1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について

 放送内容に関する規制は、ラジオ及びテレビジョン企業の設立に関する法律6112号(RADYO VE TELEVİZYONLARIN KURULUŞ VE YAYIN. HİZMETLERİ HAKKINDA KANUN. Kanun Numarası. : 6112.  Kabul Tarihi:15/2/2011) 及び電気通信法第5809号(ELEKTRONİK HABERLEŞME KANUNU Kanun Numarasl: 5809 Kabul Tarihi: 5/11/2008 Saylsl: 27050) に基づき、政府機関であるラジオ・テレビ最高評議会(Radyo ve Televizyon Üst Kurulu RTÜK)により行われており、違反者に対し警告、罰金、プログラム停止等の処罰が科される。違反の有無は、前記2法令及びラジオ・テレビ最高評議会(RTÜK) により制定された放送基準を元に判定される。

 具体的な放送基準は、法律6112号第8条により、トルコ共和国の存立と独立及び領土と国家、及びアタチュルクの原則と改革に反する内容の禁止と、人種、言語、宗教、国籍、性別、階級、地域、宗派、政治的・哲学的意見等を理由とした差別や敵意、憎悪の扇動の禁止法の支配と正義及び公平性の原則に反することや、人間の尊厳に対する攻撃の禁止、及びプライパシーの保護と、個人や組織等に対する名誉棄損的表現の禁止テロリズム組織及び犯罪組織の正当化並びに恐怖表現の禁止テロリズムを助長する可能性のあるテロリズム行為についての報道及び加害者・被害者の情報呈示の禁止道徳的価値の遵守アルコール・煙草・麻薬・賭博等の依存性・中毒性のある物質及び行為の奨励禁止不当競争や不公平な利益に繋がる表現の禁止特定の政党の支持の禁止健康や環境に悪影響を及ぼす行為の奨励の禁止猥褻(わいせつ)な内容の禁止等の禁止事項があり、更に報道内容の公正を期すために報道機関によるアンケートや世論調査は公証人による検査が必須である。

 また、公平性・真実性・正確性の原則を遵守し、社会の自由な意見形成を行うことに対する阻害の禁止と、ジャーナリズム倫理綱領に則り、ニュースプログラムにおける正確性が保障されない内容についての放送の禁止と、誇張された音声や映像及び効果音の禁止プログラムの保存及び再閲覧の義務がある。プログラム中で自己取材以外をソースとする場合はそれらの出典について明示する必要があるほか、判決手続き中の内容についての報道に関しては、その公平性に影響を与える内容の禁止と、司法による決定を待たない有罪宣告等の禁止が定められている。

 未成年に対する配慮としては、身体的、道徳的、精神的な発達を損なう可能性のあるプログラムについては、視聴する可能性のある時間帯にはプログラム開始前にその旨を表示する必要があるほか、オンデマンドメディアサービスによる前記の内容を含むプログラムでは、ペアレンタルコントロール等で、直接的に視聴できないように配慮する必要がある。

 広告については、法律6112号第9条~13条に規定されており、プログラムと同様に同法第8条の規定を遵守するほか、経験が浅く判断力の乏しい未成年対する配慮が必要であり、未成年に対し製品やサービスの購入等を直接的に勧める広告や、保護者に購入するように促す内容の広告は禁止されている。また、過度な消費が推奨されていない飲食物の広告は青少年用のプログラム中に行ってはならない。

 広告全般については、プログラムの本編と明白に区別可能である必要があるほか、プログラムの音声と広告の音声は同等レベルでなければならない。また、放送時間に対する広告の割合は20%を超えてはならないほか、宗教奉仕的プログラム中の広告は禁止されており、更にアルコール・煙草の広告、処方箋医薬品及び医療の広告は禁止されており、非処方箋薬の広告も厳正さを保つ必要がある。

 また広告のスポンサーはプログラムの開始時及び終了時に明確に識別可能にしておく必要があるほか、プログラム中に於けるスポンサーへの言及またはスポンサーが提供する商品及びサービス等への言及の禁止ニュース速報番組や宗教放送のスポンサーシップの禁止等が定められている。

 なお、広告についてはこれらの基準による規制とは別に、広告の自主規制機関である広告自主規制委員会(Reklam Özdenetim Kurulu RÖK)によって規制されている。

 

 ラジオ及びテレビジョン企業の設立に関する法律6112号(RADYOVE TELEVIZYONLARIN KURULU$ VE YAYIN HIZMETLERI HAKKINDA KANUN Numarasl:6112 Kabul Tarihi: 15/2/20 11) の詳細は以下のWebサイトを参照

 http://www.mevzuat.gov.tr/MevzuatMetin/1.5.6112.pdf

 

 電気通信法第5809号(ELEKTRONiKHABERLE$ME KANUNU Kanun Numarasl: 5809 Kabul Tarihi: 5/11/2008 Saylsl: 27050)の詳細は以下のWebサイトを参照

 http://www.mevzuat.gov.tr/MevzuatMetin/1.5.5809.pdf

 

 

2. クロスメディアオーナーシップ等の報道機関の一定地域における情報提供の占有や支配に関する各種規制について

 クロスメディアオーナーシップを直接的に制限する法制度は存在しないが、テレビ放送局及びラジオ放送局の合併には、ラジオ・テレビ最高評議会(RTUK)の承認が必要であり、承認の際に、多様性の確保や競争法を根拠とした健全な市場競争の確保等による制限が掛かる場合がある。

 

・外資規制等について

 ラジオ及びテレビジョン企業の設立に関する法律6112号により、放送事業者に対する外資規制が実施されている。但し、トルコはEU加盟に向けた準備を行っており、外資規制についてもその基準をEU基準に準拠するための作業を進めている。それを受け2011年の一部法改正によりそれまでの上限比率であった25%の外国資本率が上限50%に緩和された。

 

 

3. 電波オークション制度について

 周波数令27276号(Spectrum Regulation dated 02.07.2009,pu blished in Official Gazette no.27276)を根拠とし、電子通信分野の入札に関する条例(BY-LAW ON AUTHORIZATION FOR ELECTRONIC COMMUNICATIONS SECTOR)に定められる電波オークションの手続きに従い、情報通信技術庁(Bilgi Teknolojileri ve İletişim Kurumu BTK)により電波オークションが実施されている。

 

・オークション等実施例

・2015年の800MHz帯(帯域幅合計60MHz)、900MHz帯(帯域幅合計20.8MHz)、1.8GHz帯(帯域幅合計119.6MHz)、2.1GHz帯(帯域幅合計30MHz)、2.6GHz帯(帯域幅合計160MHz)の電波オークションでは、800MHz帯は3通信事業者により合計1,142,926,013EUR(約1550億円) で、900MHz帯は3通信事業者により合計296,699,936EUR(約400億円) で、1.8GHz帯は3通信事業者により合計835,104,623EUR(約1140億円) で、2.1GHz帯は1通信事業者により合計383,664,234EUR(約520億円) で、2.6GHz帯は3通信事業者により合計697,717,837EUR (約950億円)で落札された。なお、2.6GHz帯は帯域幅30MHzが落札されなかった。

 

 電子通信分野の入札に関する条例についての詳細は以下のWebサイトを参照

 https://www.btk.gov.tr/File/?path=ROOT%2F1%2FDocuments%2FOrdinance%2FBY%2DLAW%20ON%20AUTHORIZATION%20FOR%20ELECTRONIC.pdf

 

4. 電波使用料等について

 無線免許料は電気通信法第5809号第69条に規定され、周波数帯や発信局数等により定められている。

 

 2016年度の無線免許料の詳細は以下のWebサイトを参照

 https://www.btk.gov.tr/File/?path=ROOT%2f1%2fDocuments%2fPages%2fRADIO+FEES+FOR+2016.pdf

 

 電気通信法第5809号の詳細は以下のWebサイトを参照

 https://www.btk.gov.tr/kurulus

 

 

5. その他資料等

・監査機関等

 電気通信全般の政策や規則の策定、無線免許と許認可等は情報通信技術庁(BTK)が行い、放送免許と放送内容の監視と監督は政府機関であるラジオ・テレビ最高評議会(RTÜK)、広告に関する自主管理は広告自主規制委員会(RÖK) が行う。

 

(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)

世界主要国の通信放送等に関する調査報告書 37