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世界主要国の電気通信に関する詳細情報 10

10.韓国

 

1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について

 2003年一部改正の放送法第5条に放送の公的責任が明記されており、人間の尊厳と民主的基本秩序の尊重や国民の調和等に加え、様々な差別や犯罪、非道徳な行為とその助長、青少年への悪影響のある内容の禁止等が盛り込まれている。また、第六条には放送の公正性と公益性が明記されており、これらの審査基準が第10条で示されている。

 第20条に放送の公的責任・公正性・公益性を管理するための組織として放送委員会の設置が定義されており、放送委員会は第33条に示される様々な内容についての審議を行う。

 具体的な放送事業の運営に関しては、第69条の11こ公正性・公共性・多様性・均衡性・事実性への適合が求められている。

 第86条では放送事業者による自主審議の義務付け、第87条では視聴者の権益保護を目的とした視聴者委員会の設置を義務付けており。第90条に定められている放送事業者の義務では、原則として視聴者委員会の是正要求を受け入れることが定められている。

 なお、放送法の罰則で、報道内容やその是正措置を怠った際に関連があるものとしては、制裁措置を定めた第100条に従わなかった場合に適用される第106条の1年以下の懲役または3千万KRWの罰金のほか、前記第100条に示される視聴者に対する謝罪や放送の訂正・中止等が定められている。

 

 韓国通信法の全文は以下のWebサイトを参照

 http://www.law.go.kr/법령/전기통신기본법

 

 

2. クロスメディアオーナーシップ等の報道機関の一定地域における情報提供の占有や支配に関する各種規制について

 2009年の放送法及びその他メディア関連法改正により、それまで規制されていた新聞社及び大企業の放送業界への進出について、報道機関に対する所有制限基準が緩和された。改正内容の概要を以下に示す。

・個人或いは1事業者への地上放送事業者及び総合編成、報道専門放送チャンネル使用事業者への出資制限が最大40% (改正前は30%)。

・新聞社及び大企業による出資率は、地上放送10%、総合編成、報道専門チャンネル30%まで出資可能(改正前は禁止)。

 

 この改正により2010年には総合編成及び報道専門チャンネル(いずれもテレビ放送)の新規参入事業者選定が行われ、中央日報、朝鮮日報、東亜日報、毎日経済新聞の4社が総合編成チャンネルを、総合ニュースが報道専門チャンネルに選定された。

 

・外資規制について

 外資は、放送法第14条により、地上放送事業とラジオ放送事業への出資は全面的に禁止されているほか、総合有線放送は上限49%、中継有線放送は上限20%、衛星放送は上限49%、放送チャンネル使用事業者は総合編成チャンネルで、上限20%、報道専門チャンネルで、上限10%、それ以外は上限49%と定められている。

 

 

3. 電波オークション制度について

 韓国の電波割り当て方法は、対価割当方式及び審査方式で行われていたが、2011年より電波オークションが開始された。対価割当方式は高経済価値で競争需要の大きい周波数帯に対して採用されている割り当て方法で、通信事業者からの出損金を徴収する形式である。なお、割当対価は割当周波数の経済的価値と電波使用による事業の売上予想、額等から未来創造科学部により算出される。

 これまで対価割当方式で割り当てられていた周波数帯のうち、競争的需要が大きい帯域に対しては電波オークションが行われ、競争的需要の無いものや特殊な事情のある場合はこれまで通り対価割当方式が執られている。また、審査方式は電波利用の効率性や、事業者の財政能力及び技術力等の事業継続能力、周波数的な特性等により審査が行われ割り当てが決定する。なお、主は数譲渡権及びリース権等については、電波の有効利用と市場の活性化のため規制緩和により今後の導入を予定している。

 

・オークション等実施例

・2016年度に2.6GHz帯の60MHz幅が1兆2780億KRW(約1300億円) で、2.1GHz帯の20MHz幅が3820億KRW(約400億円)で、1.8GHz帯の20MHz幅が4億5100万KRW (約4600万円)で落札された。

 なお、最低落札価格7億6200万KRWに設定されていた700MHz帯40MHz幅は未落札となった。

 

 

4. 電波使用料等について

 電波法に基づき、電波管理経費の充当と関連分野振興を目的に3か月毎に利用料の徴収が行われる。但し、2011年度より周波数オークション制度が導入されたため、2012年度に当該移動体通信事業者に対し電波利用料軽減案として、MVNO電波利用料の3年間免除とM2M産業関連電波利用料の軽減が盛り込まれた。

  ※移動通信体(携帯電話等)のオークション帯域については、オークション収入と電波利用料が、非オークション帯域には周波数割当対価と電波利用料が、移動通信体以外には電波利用料が課せられる。

 

5. その他資料等

・監査機関等

 韓国の電気通信は、国家情報戦略及び情報通信産業、郵便事業全般、電波監理等の業務を行う科学技術情報通信部(Ministry of Science,ICT MSIT) (2017年7月に未来創造科学部から名称変更)と、放送内容や放送広告、個人情報保護等の放送・通信利用者保護、及び放送・通信に関する市場調査と放送チャンネル政策等も含む放送局全般の管理を行う放送通信委員会(Korea Communications Commission KCC) の双方により管理されている。

 

(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)

世界主要国の通信放送等に関する調査報告書 19