第2部 (6).番組制作3

番組の信頼性

おさらい

 

昔は撮影機材、スタジオセットは高く制作コストも高くついた。

現在ではデジタル機器の普及で安い費用で番組を作ることができるという話でした。

 

全ては脚本通り

 

 私は長いこと技術系(製品開発)の派遣をやっていましたが、仕事の合間や不況の時は何でもいいから仕事を入れていました。その中で、番組観覧・エキストラというバイトがあって、バラエティーや再現シーンの撮影に行っていたことがあります。

 ここでおどろいた・・というかあきれたのは、すべて脚本通りに撮影されるということです。街角インタビューもエキストラ用の役者を使い、スタジオハプニングも予定通り、ロケでたまたま入った店の客は、雇われたエキストラといった状況でした。

 なんのことはない、いわゆる「やらせ」です。私はバラエティーの撮影現場でしたが、観覧の客は全てエキストラなのはもちろんのこと、合図が出たら拍手、笑えなどと指示が出るし、タレントが転んだり、クイズの回答の間違えかたまで決まっていたりしました。

 さらに、「報道番組でも結構同じような話はあるよ。」という話も他のエキストラから聞いています。

 

 テレビ番組は真実というより、ストーリーを見せているといったほうがいいのかもしれません。  

 

取材はネット任せ

 

 次に報道の話ですが、
最近、事件や事故が起こるとツイッター等のSNSで、瞬時に「朝日新聞の○○です。」「共同通信の○○です。」「TBSの○○です。」といった書き込みがあります。
そのあとに続く書き込みは「△△事故の動画、画像はありませんか?」です。最近のニュース番組や新聞で使われる一般人撮影の動画、画像はこうやって集められるのです。
また、各局のサイトでは、事件、事故の動画を投稿できるようになっています。さらにYoutubeの動画をニュースで直接流すこともよくあります。

 

 テレビのニュースと似たような動画はYoutubeに上がっているし、Youtubeと同じ動画がテレビで放送されたりします。テレビとYoutubeって同じじゃない?と思いませんか?。

 

 昔、投稿写真という最低な雑誌があって、「自分で取材する」というという部分を放棄し、逆に読者の投稿意欲を刺激し、結果的に盗撮等を助長するといった感じになっていました。

 現在のマスコミはそこまでいっていないもの、「取材」という部分を放棄してしまうと、テレビ局の場合、Youtubeとの差がほとんどなくなってしまいます。テレビ局がおすすめ動画を再生してくれる動画のポータルサイトでしかなくなってしまうのです。

 

 

・YouTubeと変わらない報道内容

 先日、とある飲み会でたまたま出会った某局のプロデューサーに、

 

「投稿動画を上げるだけなら、テレビ画面に直接QRコードを出して、各自がそれを携帯で読み取ってリンク先(動画サイト)に飛ぶほうが早いんじゃない?」と嫌味たっぷりに言ったら

「意味が分からない。」といわれてしまいましたw。 

 

 他に「Youtubeとの差は?」

「信頼性。本物かどうかのチェックはしている」

 

「グラフィック合成かのチェックは?」

「それはしてない」

 とのことでした。

 

合成かどうかのチェックは難しく、たぶん無理でしょう。 

リアルタイムで取材していないということも事実かどうかの確認を難しくしています。

結局、テレビ局の報道は個人投稿のYoutubeにますます近づいて行くのです。

 

 私は、テレビ局に真実性、信頼性を求めるのは無理だと思っています。

特定のプロパガンダは禁止すべきだと思いますが、多チャンネル化、多元化して、多様性を担保するのが限界だと思っています。

 

 そして、テレビ報道(マスコミ)の情報は是々非々で見るというのがポイントだと思います。

 

次回は番組の版権についてです。

・おまけ 地方局物語 (3).行く年くる年 1  松島、金華山

このコーナーでは、父に聞いた放送局のエピソードや思い出をいくつか紹介します。

 

 父が放送局に勤めていた関係で、父は大晦日に家にいたことがなく、元日朝にも父がいないのが普通でした。ひどいときには正月三ヶ日出勤した年もありました。父が紅白歌合戦のとき自宅にいたのを初めて見たのは定年の後でした。

 

 では、年末何をやっていたかというと、行く年くる年の除夜の鐘の中継に行っているのでした。私が育つころには父は管理職だったので局内にいましたが、開局当初は各地の寺から中継するため泊りがけで出かけたそうです。

 

 ラジオ時代の行く年くる年のエピソードを聞いてるのでいくつかあげておきます。

 

 松島から中継したときの話ですが、当時、回線は電電公社(現NTT)から借り、接続点からケーブル引いたそうです。さらに、海の上に船を並べて船の上にケーブル接続コネクターがくるようにケーブルをつなぎ、島の上のお堂の鐘?から中継したそうです。

 

 金華山(離島です)から中継したときは、宿坊に泊まり、無線機器を山の上まで上げて中継したとのことでした。一緒に行ったアナウンサーにも山の上まで荷物運びを手伝わせたのでさんざん文句を言われたそうです。