3.提案の法的・制度的実行可能性と論点整理

3-1 「規制緩和」 — 全国発信・参入促進・寡占撤廃

提案内容

 •    地方からの全国発信を認める(在京キー局寡占の撤廃)

 •    3年以内に放送ネットワーク枠を緩和・撤廃

 • 「クロスオーナーシップ」の制限・禁止

 • 電波利用権のオークション制度導入/新規参入促進

 

意義/法的根拠

 • 多元的メディア構造の実現 → 言論の自由・知る権利の実効性向上

 • 公共的資源である電波の効率的利用・競争原理導入

 • 放送法第3条「放送番組の独立を確保」など制度趣旨を活かす  

 

留意すべき論点

 • 新規参入時の免許審査・電波割り当て制度の公正性・透明性確保

 • 既存免許保有者・地域ネットワークとの調整・既得権益の整理

 • 全国ネットワーク化による地域メディアの衰退・地域性喪失リスクへの配慮

 • 入札制度・オークション導入時の競争誘因と同時に、参入ハードルを上げ過ぎない設計

 • クロスオーナーシップ禁止に伴う既存資本構成の整理・移行措置


3-2 「虚報防止」 — 重大な虚偽・捏造報道の罰則化/監督強化

提案内容

 • 報道・ニュースを冠する番組を放送法第4条「報道」に該当と明示

 • 第4条3項をフィクションと明示しない全放送に適用、停波など罰則規定

 • 製造物責任法(PL法)の報道適用拡大

 • 監督機関(報道利害関係者を排除した第三者)設置

 

意義/法的根拠

 • 報道の信頼性確保は、知る権利の実効的担保につながる

 • 放送法第4条(放送番組における報道の中立性・公平性義務)を制度化することで、放送という媒介の公共的責任を明らかにできる。  

 • 監督機関の第三者性確保は、政府・放送事業者双方からの影響を排除する観点から重要。

 

留意すべき論点

 • 言論・報道の自由とのバランス:過度な罰則や制度による萎縮効果(セルフ・センサーシップ)の危険性

 • 「虚偽・捏造」の定義・範囲を明確にしないと、恣意的運用・報道抑圧リスクがある

 • 製造物責任法適用という提案は、報道を「製品化」する発想であり、従来の判例・実務枠組みとの整合性・違憲性が議論される可能性あり

 • 監督機関の具体的設計:独立性・専門性・透明性を確保する規定(人事・予算・監査)を制度設計する必要あり


3-3 「第三国影響排除/安全保障的観点」

提案内容

 • 電波オークション参加時に、領土的野心を持つ第三国や反社会的組織の影響下にある法人等を制限

 • 管理職に国籍条項を適用(報道機関等)

 • 外国資本・外国勢力の実質支配関係を監査・透明化

 

意義/法的根拠

 • メディア・報道機関が国家安全保障・情報保障の観点から「脆弱なチャネル」となり得るため、外国政府・外国勢力による影響力の排除は合理的な制度目的を持つ。

 • 国際的にも、重大なインフォメーション操作やプロパガンダのチャネル化を防ぐべく、メディアにおける外国勢力の参入・支配を規制する流れがあります。

 • 言論の自由・報道の自由を守るためには、報道の受け手である国民が、偏り・操作・隠蔽を受けない体制が制度的に担保されていなければなりません。

 

留意すべき論点

 • 国籍条項や外国資本規制は、国際人権法・投資法・企業活動の自由との関係で慎重な制度設計を要します。

 • 参入時の審査・制限を強化する際は、恣意的排除・報道の多様性阻害とならないよう、透明な審査基準・救済制度を整備すべきです。

 • 実務上、外国関係者・第三国との人的・資金的・情報的つながりを監査・評価する体制を確立する必要があります(報告義務・監査制度)。