5.「言論の自由と知る権利」と「報道自由化」

請願書が強調する「放送法改正による自由参入」「既存局による報道しない自由の抑制」は、言論の自由・知る権利の観点から、次のように論理付けられます。

 

1. 多様な発信主体の存在

 – 視聴者・国民が得る情報源が限られていると、特定メディア(既存キー局等)の情報発信に依存が偏り、「報道しない自由」によって重要情報が意図的に報じられないリスクが高まります。

 – 新規参入・競争導入によって、既存の報道空白・不報の解消が促され、視聴者がより多くの選択肢を持つことで、知る権利の実効性が高まります。


2. 監視・競争による報道責任の強化

 – 競争的環境においては、視聴者・国民が他のメディアを選択できるため、報道機関は「情報を出さない」「隠す」「歪める」ことのコストを負います。これにより「報道しない自由」の濫用抑止につながります。


3. 参入構造と公共性の両立

 – 放送は公共的資源たる電波を用いており、従来は公共的責任・公益性が重視されてきました。しかしその公共性を担保しつつ、競争・多様性を確保しないと、むしろ既得権益化・情報独占化・知る権利制約につながる可能性があります。


4. 外部影響からの保護

 – 特定の報道機関が第三国の影響を受けていた場合、その歪んだ報道は国民の正しい情報取得を阻害し、民主的判断・政策選択を歪める可能性があります。自由参入・審査制度・監督制度を整えることは、報道機関の構造的健全性を担保する上で重要です。


5. 制度による抑止と説明責任

 – 虚偽・捏造報道や報道放棄が続くと、報道機関自体の信頼性が低下し、視聴者離れ・情報源の偏り・言論空間の閉塞につながります。制度的に罰則・監督を強化することは、報道の質を守ること、ひいては知る権利・言論の自由を守ることと密接に結びつきます。


以上の理由から、請願書の趣旨である「規制緩和による参入・競争促進」「虚報防止・監督強化」「第三国影響排除」は、言論の自由・報道の自由・知る権利の制度的担保という観点から、理論的にも実務的にも有効な提案と言えます。