NHK「トランプ批判記事 政権内部から寄稿か」

■ニュースメディア

NHK(日本放送協会)

 

■ニュースタイトル

「トランプ批判記事 政権内部から寄稿か」

 

■ニュース掲載・報道日

2018年9月6日

 

■フェイク理由・ソースURL・その他

産経新聞を初め、他のメディアでも取り上げているので、寄稿とされる記事がニューヨーク・タイムズに掲載されたことは間違いない。しかし、ファクトチェックも無しにアンカーマン(ニュースキャスター)が自分の感想を公共の電波で垂れ流すべきではない。アメリカなら首が飛んでる。

■記事内容

------------------  The New York Times(日本語版) 2018.9.7

ニューヨークタイムズは、匿名のオプエドの投稿を掲載するというめったにない決断をしました。この措置は、トランプ政権内の高官である、筆者の要請に応えたものです。私たちは、筆者が誰なのかを知っていますが、名前を公表することで、彼の仕事が脅かされることになるからです。読者に、この重要な視点からの意見を届けるには、この投稿を匿名で掲載することが唯一の方法と信じるからでもあります。この投稿、あるいは匿名での掲載にいたるまでの私達の考え方について、ご意見があれば、歓迎いたします。

 

(中略)

問題の根っこにあるのは、大統領の規範のなさです。一緒に働いたことのある人ならだれでも、トランプ氏が、決断をするための指針とするような原則を何も持っていないことを知っています。

 

彼は共和党員として選ばれたわけですが、保守層が長い間支持してきた理想、つまり、精神の自由、自由市場、自由な人々などに、ほとんど愛着を示していません。良くてもせいぜい原稿に書いた言葉として使う程度で、悪くするとこういった考えを正面から攻撃してきました。

彼は「報道は人々の敵」という言葉を大量販売しただけでなく、彼の感覚は大体、反貿易であり、反民主主義です。

しかし誤解しないでください。この政権に対する止むことのないネガティブな報道が見逃している良い点もあるのです。効果的な規制緩和、歴史的な税制改革、軍事力強化、などです。

(中略)

我々は正しいことをしようとしているのです。ドナルド・トランプがそうしなくとも、です。

それは「ツー(2)・コース大統領制」です。

例えば外交政策です。公式にも非公式にも、トランプ大統領はロシアのウラディミール・プーチン大統領や、北朝鮮のキム・ジョンウンのような専制君主や独裁者への好感を示しています。しかし、同じ原則を持つ友好国と私たちを結びつけている絆については、純粋は賞賛を示したことがほとんどありません。

明敏な観察者ならばもうお気づきでしょう。大統領以外の政権内部の者たちは、もう一つの異なるコース上で働いていることを。このコースでは、ロシアのような国は、内政干渉について追及され、相応の罰則を与えられますし、世界の友好国は、競争相手としてバカにされるのではなく友人として遇されるのです。

私たちは、いわゆる「国家内国家」を運営しているのではありません。私達が運営しているのは、安定した国家なのです。多くの人が、この間の不安定な政権運営を目撃した結果、政権内部では、合衆国憲法修正第25条を発動して、大統領を免職する複雑なプロセスを始めるべき、という考えがひそかにささやかれたこともあったのです。しかし早まって憲法上の危機を引き起こすことは誰も望みません。ですから我々は政府を正しい方向に向けて動かしていくために、可能なことをしていくつもりです。――どんなかたちであれ――この状況が終焉を迎えるまで。(以下略)

■関連記事

--------------------  日本経済新聞 2018.9.6

トランプ政権やまぬ内部告発 大統領交代にも言及 

【ワシントン=永沢毅】

米政権内からトランプ大統領の最高指導者としての資質を疑問視する内部告発が相次いでいる。著名なジャーナリストによる政権の内幕本に続き、5日には米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が政権内でトランプ氏の解任の方法すら話し合われたと明かす匿名の現職高官の寄稿を掲載した。政権側は従来の元側近による内幕の暴露時よりも事態を深刻にとらえており「犯人捜し」に躍起になっている。

 

「大統領の行動は米国にとって有害だ」「問題の根本は道徳観念がないことだ」。こう述べた現職高官の寄稿が政権関係者に衝撃を与えたのは、合法的な大統領の交代を可能とする憲法修正25条の発動を検討する向きがあったと明かしたためだ。

修正25条第4節は副大統領と閣僚の過半数が「大統領が職務の権限と義務を遂行できない」と議会に申し立てをすれば、大統領を解任し、副大統領を大統領代理にできると定めている。ただ、大統領は不服申し立てができ、上下両院の3分の2が副大統領を大統領代理として認めなければ職務復帰が認められる。

共和党議員の大半がトランプ氏を支持する現在の議会が大混乱になるのは必至で、この高官も「憲政上の危機を巻き起こしたい人間などいない」として見送られたことを明らかにした。「政権が何らかの形で終わるまで、政権を正しい方向に向かわせるため、自分たちにできることをしていく」とも表明した。

 

折しも4日には著名ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏が11日に発売する新刊の内容が報じられた。新刊はマティス国防長官がトランプ氏について「小学5、6年生の理解力しかない」と罵ったり、国益を損なわないようトランプ氏の指示を無視したりする様子を描いた。(以下略)

 

■検証記事

---------------- 産経新聞 2018.9.6  

【トランプ政権】匿名の高官が米紙に大統領批判の寄稿

 「政権内部にレジスタンス」

 

【ワシントン=黒瀬悦成】

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は5日、「私はトランプ政権内部のレジスタンス(地下抵抗勢力)の一員だ」と題する、匿名の政権高官によるトランプ大統領批判の寄稿を発表した。寄稿は、トランプ氏の資質を疑問視する閣僚らが、職務遂行能力を欠いた大統領を退任させられると規定した合衆国憲法修正25条の適用を一時検討していたことを明かした。

 同紙が筆者の実名を示さずに寄稿を掲載するのは異例。寄稿は、トランプ氏が「米共和制の健全性を阻害する行為を重ねている」とし、政権高官の多くが同氏による「見当違いの衝動的行為」の阻止に努め、「米民主制度の保全に全力を挙げている」と訴えた。

 また、トランプ氏が共和党候補として大統領に当選したにもかかわらず、保守派にはほど遠く、自由な報道を敵視し、「反自由貿易」で「反民主主義」だと批判。政権は規制緩和や税制改革、軍事力強化などで実績を上げたものの、それらは「気性が激しく敵対的で、効果の上がらない」同氏の統率姿勢から生まれたものではないと断じた。

 トランプ氏はむしろ、十分な検討や情報なしに性急な決断を下して後に撤回したり、重要な政策決定を1週間で覆したりするため、政権高官の大半は大統領の気まぐれに巻き込まれないよう、自身の職務遂行状況を同氏に知らせないようになっていると指摘した。

 この結果、例えば、外交政策ではトランプ氏がロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長などの権威主義的指導者に接近し、同盟諸国を軽視するのとは裏腹に、政権高官らはトランプ氏の意向と無関係にロシアに対して制裁圧力を強めていくといった、「二重大統領制」が出現していると説明した。

 情緒が安定しないトランプ氏に対して高官らは政権発足当初、修正25条の適用を水面下で検討したものの、同条の適用は史上初となるため「憲法上の危機」を招くのは必至として、同氏の退任まで政権を正しい方向に導く形で支えることで一致したとしている。

 

 これに対しトランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、「匿名の寄稿とは卑怯(ひきょう)だ。メディアは不誠実だ」などと述べ、逆に同紙を攻撃した。

 同紙は高官の名前を伏せた理由について「明かせば職務を危機に陥れるため」と説明している。