· 

世界主要国の電気通信に関する詳細情報 04

4. カナダ

 

1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について

 コンテンツ制作に関し、フランス語圏と英語圏を有するカナダの国情に対処すると共に、カナダの文化や国益を保護することを主目的とした、カナディアン・コンテンツ規制(Canadian Content for Radio and Television) 及びカナダ・ラジオテレビ電気通信委員会(Canadian Radio-television and Telecommunications Commission CRTC)による放送規則(Broadcasting Regulatory Policy CRTC) により、プロデューサーがカナダ人であること、製作費用の75%以上がカナダ人に支払われること、商用放送事業者は1日の放送時間の60%以上を国内製作番組で編成すること等の規制が設けられている。

 

 Broadcasting Regulatory Policy CRTC 2016の詳細については以下のWebサイトを参照

 http://crtc.gc.ca/eng/archive/2016/2016-1.pdf

 

 

2. クロスメディアオーナーシップ等の報道機関の一定地域における情報提供の占有や支配に関する各種規制について

 1991年放送法(BroadcastingAct 1991)及びカナダ電気通信公衆事業者所有管理規制(Canadian Telecommunications Common Carrier Ownership and Control Regulations)による規制が存在する。

 2008年のカナダ・ラジオテレビ電気通信委員会(CRTC) のメディア所有規制の強化により、単一企業が所有できるメディア事業数を最大2つまでに制限されている。

※メディア事業とは、テレビ放送事業・ラジオ放送事業・新聞社が該当し、最大事業数のみが決められているため同業種である必要は無く、テレビとラジオ、テレビと新聞社、ラジオと新聞社等異業種の組み合わせは可能である。

 また、フランス語圏、英語圏のいずれにおいても視聴者占有率が、単一企業で45%を超えてはならない制限もある。

 

・外資規制

 電気通信事業者は、1993年電気通信法により経営権の代表者及び取締役の80%がカナダ国籍であることが義務付けられており、更に外資による直接投資額比率は資本の20%までに制限され、間接投資で、あっても投資額比率は33.3%までに制限されている。但し、国内通信市場の売上高シェア10%未満の事業者に対しては外資規制が科されない。

 

 電気通信公衆事業者所有管理規制の詳細については以下のWebサイトを参照

 http://laws.justice.gc.ca/PDF/SOR-94-667.pdf

 

 

3. 電波オークション制度について

 カナダ産業省主導により行われている、通信行政の現状を反映し様々な市場競争促進や迅速なサービス向上のために制限や条件が適宜加えられる。

 

・オークション実施例

 

・2014年のオークション(2500~2570MHz、2620~2690MHz、2570~2620MHz)は、9通信事業社により総額219,147,421CAD(約1900億円)で落札された。なお、このオークションには、市場競争促進のため4社以上により分割して落札することや、落札した周波数帯域に譲渡に関して厳しい条件を科すなどの制限が設定されている。

 

 2014年の2.5GHz及び2.6GHz帯オークション詳細については以下のWebサイトを参照

 http://www.ic.gc.ca/eic/site/smt-gst.nsf/eng/sf11030.html

 

・2014年の700MHz(MBS)帯のオークションは、8通信事業社により総額5,270,636,002CAD(約4600億円)で落札された。なお、落札者は5年以内に90%、7年以内に97%のエリアカバレッジが義務付けられている。

 

 2014年の700MHz帯オークションの詳細については以下のWebサイトを参照

 http://www.ic.gc.ca/eic/site/smt-gst.nsf/eng/sf11086.html

 

・2015年のオークションでは2500-2570MHz、2620-2690MHzの周波数帯が、5通信事業社により総額755,371,001CAD (約6600億円)で落札された。

 

 2015年の2.5GHz及び2.6GHz帯オークション詳細については以下のWebサイトを参照

 http://www.ic.gc.ca/eic/site/smt-gst.nsf/eng/sf10954.html

 

 

4. 電波使用料等について

 カナダの電波使用料は、欧州委員会の放送免許手数料規則(Broadcasting License Fee Regulations 1997) に準拠し、前年度の消費者物価指数(CpI) 等を加味して算出される。2014~2015年度の第2部ライセンス料(Part 1 license fee)は29,197,000CAD(約26億円)、2016年の第2部ライセンス料(Part 1 license fee)は110,629,688CAD(約97億円) ドルである。

 

 電波使用料の詳細については以下のWebサイトを参照

 http://www.crtc.gc.ca/eng/archive/2014/2014-84.htm

 

5. その他資料等

・監査機関等

 産業振興やICT振興政策、電波監理、電子機器の形式認証や規格化等の電気通信を含む産業全般についての対応はカナダ産業省(Innovation,Science and Economic Development Canada IC) によって行われている。また、電気通信及び放送等に関する規則制定や免許付与、料金審査等については独立規制機関であるカナダ・ラジオテレビ電気通信委員会(CRTC)によって行われている。

世界主要国の通信放送等に関する調査報告書 13