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世界主要国の電気通信に関する詳細情報 21

21.フィンランド

 

1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について

 フィンランド通信規制庁(Finnish Communications Regulatory Authority FICORA)により、主に子どもの保護のためにピクチャープログラム法(Kuvaohjelmalaki 17.6.2011/710)を根拠に暴力的な内容と性的な内容を中心に、年齢コード等による視聴制限など分類を行う等の配慮がなされている。

 広告等に関する規定では、広告の割合は販売番組(テレショッププログラム) 以外では1時間あたり12分以内に収める必要があるほか、広告及び販売番組はコンテンツ(放送プログラム)と明確に区別ができるようにしておく必要がある。また、誤った情報や誤解を招く恐れのある情報、及び子どもに商品やサービスの購入を促す内容等の消費者に不利益をもたらす可能性の高い内容については消費者保護法(Kuluttajansuojalaki 20.1.1978/38)により禁止されている。さらに、煙草会社がスポンサーになることは煙草法(Tupakkalaki 29.6.2016/549)により禁止されているほか、アルコールについては同様にアルコール法(Alkoholilaki8.12.1994/1143) により規制され、医薬品会社についても同様に医薬品法10.4.1987/395(L泊kelaki10.4.1987/395)により規制されている。

 なお、思想やイデオロギ一等に関する広告(社会広告)についてもピクチャープログラム法 17.6.2011/710 (Kuvaohjelmalaki  17.6.2011/710)により規制されている。

 これらも含めた報道機関による様々な違反行為に対し、フィンランド通信規制庁(FICORA)は情報社会法7.11.2014/917(Tietoyhteiskuntakaari 7.11.2014/917 ) 第334条~339 条により、その重要度に合わせ最大1,000,000ユーロの罰金が科せられるほか、より重篤な違反に対する罰金は当該事業者の前年度の売上高の最大5%まで課される。なお、違反が繰り返される場合には、放送の中止や一部の停止が命じられることとなる。

 

 ピクチャープログラム法17.6.2011/710(Kuvaohjelmalaki 17.6.2011/710)の全文は以下のWebサイトを参照

 https://www.finlex.fi/fi/laki/ajantasa/2011/20110710

 

 消費者保護法20.1.1978/38(Kuluttajansuojalaki 20.1.1978/38)の全文は以下のWebサイトを参照

 https://www.finlex.fi/fi/laki/ajantasa/1978/19780038

 

 煙草法29.6.2016/549(Tupakkalaki 29.6.2016/549)の全文は以下のWebサイトを参照

 https://www.finlex.fi/fi/laki/ajantasa/2016/20160549

 

 アルコール法(Alkoholilaki 8.12.1994/1143) の全文は以下のWebサイトを参照

 https://www.finlex.fi/fi/laki/ajantasa/kumotut/1994/19941143

 

 医薬品法10.4.1987/395 (L泊kelaki10.4.1987/395)の全文は以下のWebサイトを参照

 https://www.finlex.fi/fi/laki/ajantasa/1987/19870395

 

 ピクチャープログラム法17.6.2011/710(Kuvaohjelmalaki 17.6.2011/710)の全文は以下のWebサイトを参照

 https://www.finlex.fi/fi/laki/ajantasa/2011/20110710

 

 情報社会法7.11.2014/917(Tietoyhteiskuntakaari 7.11.2014/917)の全文は以下のWebサイトを参照

 https://www.finlex.fi/fi/laki/ajantasa/2014/20140917

 

 

2. クロスメディアオーナーシップ等の報道機関の一定地域における情報提供の占有や支配に関する各種規制について

 フィンランドにはクロスメディアオーナーシップを制限する規則は特に存在せず、占有や支配等の状況に対しては、他の業種と同様に一般的な競争法が適用されることにより規制されている。

 

 

3. 電波オークション制度について

 オークションのルールは、情報社会法 7.11.2014/917(Tietoyhteiskuntakaari 7.11.2014/917)の第12条~15条に規定され、これに従いフィンランド通信規制庁(FICORA)がオークションを実施している。

 

・オークション等実施例

・.2016年の700MHz帯(703~733/758~788MHz)帯域60MHz幅の周波数オークションでは通信事業者3社が総額は6,633万EURで落札した。

 17年の免許期間で、免許地域はオーランド諸島を除くフィンランド全域である。なお、免許には2020年2月までに人口カバー率99%の人口カバレッジ義務が課せられている。

 

 オークションの詳細は以下のWebサイトを参照

 https://www.viestintavirasto.fi/taajuudet/radiotaajuuksienkaytto/taajuushuutokauppa.html 

 

 

4. 電波使用料等について

 電波使用料は、テレビ及びラジオ放送の周波数利用に関する規則70(Määräys 70 televisio-ja radiotoimintaan tarkoitettujen taajuuksien käytöstä) により規定されている。なお、電波使用料以外にプログラムライセンス、無線ライセンス、番組ライセンス等の様々なライセンス料金が必要であり、これらは全てフィンランド通信規制庁(FICORA) によって付与される。ライセンスは許認可制度ではあるものの、表現の自由やメディアの多様性等を守ることを主目的とした制度で、あるため、ライセンス条件を満たした場合には必ず付与されるシステムとなっている。なお、これらに課せられる手数料は、情報社会法7.11.2014/917 (Tietoyhteiskuntakaari 7.11.2014/917) により定められている。

 電波使用料は情報社会法第288条に定められており、周波数帯帯域幅、利用目的、技術的、経済的有用性等を係数とする数式で定められ、高周波数帯は安価で低周波数帯は高価である。

 また、放送事業は電気通信事業に対し25%と割安に設定されているほか、電気通信業者に対してのみ情報社会料金が別に科せられる

 また、放送事業者は情報社会法第294条に定められているテレビ・ラジオコントロール料金が科せられ、フィンランド国営放送(Yleisradio YLE)の年間手数料は165,000EUR、テレビ事業は各ライセンステレビ番組につき16,000EUR、地域テレビ放送は各ライセンステレビ番組につき800EUR、ラジオ免許は8,000EUR、地域ラジオはライセンスラジオ番組につき800EURが科せられる。

 

 

5. その他資料等

・監査機関等

 インターネット・情報セキュリティー、郵便・電話及び、無線通信・放送と、それらのライセンス及びオークション、放送を含むメディア全般の監督等の電気通信全般業務はフィンランド通信規制庁(FICORA) が行っている。

 

(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)

世界主要国の通信放送等に関する調査報告書 30